- 作者: 恩田陸
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/08/25
- メディア: 文庫
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今まで読んだ恩田陸の中で一番良い出来。楽々の及第点。
やっと幻想的な、現実から離れた浮遊感を体験できた。
十数年前に起きた名家の大量毒殺事件。その謎解いているつもりで進んで行くと、どんどん暗い場所に嵌り込んでいく感じ。
結局謎として登場したものは大体が最後まで謎のまま。(赤いミニカー、犯人、犯行の動機)
久代とマキちゃんの作中作みたいな章があるのも、不思議で素敵。
冒頭、書き手は暑い夏の日にいろんな人の話を聞き事件の欠片を集めていく。
読み手も湿度の高い息苦しい夏の日に連れて行かれる。
じっとりと絡みつく湿気。
体感するこの湿度とは対に、視覚にドンと訴えてくる白い百日紅や青い部屋というワード。
見える事、見えない事。
目の見えない緋紗子の”見る”世界はきっと私たちには分からない。