そして円環はひらく

ただの読んだ本メモ、人が読む用には書いていません

人間の手がまだ触れない

人間の手がまだ触れない (ハヤカワ文庫SF)

人間の手がまだ触れない (ハヤカワ文庫SF)

おもしろ!!復刊に感謝。装丁とタイトルが素敵で、中身がそれに勝るという稀な本。
ユーモアたっぷりの日常的皮肉を軸にした作品が多くて、常識=悲劇(あるいは喜劇)として扱ってもケロっとして厭味がない。


「体形」
何種類かの体形を保つことを強いられている不定形生物の宇宙人が地球へ征服にやってくる。
地球の自由な形態の生物を目の当たりにして彼らは…
「時間に挟まれた男」
時空の裂け目に落ちてしまった男。ある日アパートからの階段を降りるとそこは草原だった。
男の視点と、創造者の視点(契約文書)が交互に書かれてめちゃくちゃ面白い。
「七番目の犠牲者」
戦争のなくなった時代に生まれた人狩りのシステム、精神浄化局!このセンス♪
彼の7番目のターゲットはなんと女性。物語は予想通りの結末になるんだけど、文章を追うだけで楽しい。
「儀式」
待ちに待った神船がやってきた。歓迎の儀式だ。
入港許可の踊り、税関検査の踊り、検疫の踊り。さぁ古代手順書に書かれた通りに8日間!
「静かなる水のほとり」
静かな河のような宇宙空間・・”漆黒の宇宙が河のように流れ、星々が河に浮かぶ点のように光っている”
これを最後に持ってくるとはね…完全にやられた。