- 作者: ロバート・シェクリー,酒匂真理子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1985/02
- メディア: 文庫
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シェクリィの復刊文庫。マニア向けのちょっと読みにくい濃い短編集。
「コードルが玉ネギに、玉ネギがニンジンに」
これ最後までイマイチ分からなかったけど2回目で面白いなーと思った。
あとは「こうすると感じるかい?」も素敵。やだよー女は。
「シェフとウェイターと客のパ・ド・トロワ」
これ一番気に入った。
ある夏、ある料理店での出来事。”客がみるみる太っていく”という客観的事実が、
シェフ、ウェイター、客の3人の視点から描かれるとどうなるのか。
普通”3人の独白”という形だと、最後の1人で別々の事象がひとつにまとまったり、
描かれてきた事実の全く違う側面を提示されたり、ってパターンだろうなと思うでしょ?
もしくは「藪の中」みたいな皆が少しずつ本当のことを言っていないとか、もしくはその逆とか。
何のなんの。この作品は最後まで3人が単に別々のことを言っているだけ。
シェフ:高カロリー料理で魅了させてしまい、お客を太らせて命を縮めてしまったと自責の念にかられている。
ウェイター:自分のかけるレコードの麻薬的効果により、お客を太らせて命を縮めてしまったと自責の念にかられている。
太った客:当の本人は、料理も音楽もそっちのけで何とウェイターに恋をしていた。
おかしすぎるっしょ。
物事は視点によって様相が違って見える、って話なのか?
それともシェフは料理、ウェイターは音楽で魅了させたと思っていたら、単に恋に魅了されていた、という皮肉の利いた話なのか?
いやいや。結局、オチのつく筈の太った客が「小説家志望」だもんな…
信用できんよ。