- 作者: 宮部みゆき
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/05/24
- メディア: 文庫
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探検に行ったワタルは、建設途中の階段の先に不思議な扉を見つける。
ごくごく普通の小学生の日常・・・そんなある日、何の前触れも無く突然父親が出て行ってしまう。
怒鳴り込みに来た相手の女性に母親が目の前で罵倒され、初めての理不尽に直面するワタル。
ガス栓を捻って無理心中をすようとする母親を目の前に、彼はビルから幻界へと旅立つ事を決意する。
お父さんを取り戻すために。自分の運命を正すために。
端的に言うと偽善的な正義の物語。
色んな仲間と出会い、助け合い、時には別れに直面し、実りのある旅をしてきた主人公ワタル。
反対にミツルは仲間を持たず一人で、たった一つの願いだけを胸に旅を続けてきた。
ワタルとの関係からも他人との触れ合いを自分に律している面が伺える。
父親が母と妹を連れて無理心中、幼い頃に一人ぼっちになったミツル。
”妹の命だけでも取り戻したい。あいつはまだ本当にちっちゃかったんだから。”
大切な人の命と引き換えなら、他人の命なんかどうなっても構わない。幾つでも犠牲にしてやる。
それのどこが間違いなのか。
ワタルはガス自殺未遂の時に母の命が無くなっていても、女神に同じ願いを口にできるのか。
今一歩琴線に触れない。でも一気に読ませる手腕は健在。
子供のドラゴン、ネ族の女の子、水人族、真実の鏡や5つの玉・・・
子供にも分かりやすいRPG的なディテールが盛り沢山で、ゲーム感覚でも楽しめる。