噂

噂 (新潮文庫)

「レインマンが出現する。女子高生の足首を狙って･･･でもミリエルという香水を付けていたら狙われないらしい」
ある会社は香水の広告戦略として、そんなクチコミ戦略を行った。
ただの風説の流布のはずだった。
それがある日、公園で足首の無い女子高生の死体が発見されて･･･

都市伝説の具現化という、御伽噺が現実になって目の前に叩き付けられる事実（足の無い死体）の鮮やかさが薄い。
噂話を聞いてそれが現実になった事を知る女子高生を主観にした方が楽しい気がする。
まさかまさか･･･みたいな、自分が都市伝説と現実のどちらにいるか分からない足の浮いた感じが良いのに。
サクっとリアルなのが持ち味といえばそうなのかもしれんが、私はあんまり好きじゃない。

ラスト1行に衝撃が！という帯文句。
確かにラス1行はいきなり違う方向から来たけど、ガツンと殴られるほどの衝撃は無いし、
”ラストに衝撃”と銘打つなら、今までの理解がひっくり返る「どんでん返し」じゃないと満足点は出ない。
このラストのために今までの構成がある、リードも全て引っ掛け、位の。
読者は乗りそびれると思うなぁ、あのラストは。
犯人探しのドキドキ感も勿論ないし、”サキがまた冷蔵庫を腐らせて”って一文がそもそも怪しすぎ。