- 作者: スタンリイエリン,Stanley Ellin,田中融二
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2006/07/01
- メディア: 単行本
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「ディナーで殺人を」(アンソロジー上下巻)好きな私にとって、この人の「特別料理」は本当に特別。
読み返してやろう的気分で「特別料理」1作品目を読んで、初読の時の強烈な印象が蘇ってきた。
改めて思う、これは忘れられない逸品。
”奇妙な味わい”と言われるけど、それはダールに任せるとして、
この人は果てしなくシニカル。奇妙より皮肉。
全ての作品が綺麗だと思った。目を見張るような鮮やかさは無いけど丁寧で美しい。
地味に余韻が来た作品は「クリスマス・イヴの凶事」、
顧問弁護士がある古びた館を訪ねる。
冒頭から殆ど読み手に与えず、少しずつ事件の断片が提示され、最後の1セリフで完結。
昔は綺麗に並んでいたであろう事件の布石は、今は蹴られ、あちこちに散らばってしまっていて、
それをこの顧問弁護士が館を歩いて少しずつ拾い、読み手の前に置いてってくれる感じ。
最後の1セリフで頭の中の全ての情景が一変した。
単なる古さだけでない、何となくしっくり来なかった死に絶えた雰囲気に合点がいく。
鳥肌もん。
「特別料理」
「お先棒かつぎ」
「クリスマス・イヴの凶事」
「アブルビー氏の乱れなき世界」
「好敵手」
「君にそっくり」
「壁をへだてた目撃者」
「パーティーの夜」
「専用列車」
「決断の時」