- 作者: 宮部みゆき
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/11/26
- メディア: 文庫
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さらにクライマックスのカタルシスまで持ち上げる手腕はすごい。
メモ
<被害者視点>
ある日突然”被害者”になった人間の心理描写が切実。
鞠子の母親、祖父、昨日の続きは”明日”ではないと知った人たち。
初めは「遅いな」という、何てことはない小さな不安の芽。そこから永い夜が始まる。
不審を直視しなければ現実にならないという被害者の親もいる。
元々人物描写は頭一個抜けてたけど心を打たれた。
<犯人像>
1〜2巻は被害者から見た、世間から見た恐怖の”犯人像”、
3巻ではヒロミから見た偶像であるピース。これまた人間味の薄いヒーロー仮面。
(カズの言葉で少し仮面の下を間見せる場面や、間違いを指摘されると無表情になる幼稚的な場面あり)
4巻にして初めてピースに名前が与えられ、人間としてぐんと迫ってくる感じ。
5巻はただの一人の人間としてのピース。彼はもう特別でもなんでもない。
冷静でも聡明でもなんでもない。自己欺瞞の塊。
ピースの地雷ワード”模倣犯”、
”どんな事件も何らかの事象の焼き直し”という意味も含め、タイトルが効いてる。