そして円環はひらく

ただの読んだ本メモ、人が読む用には書いていません

異色作家短編集「一角獣・多角獣」

一角獣・多角獣 (異色作家短篇集)

一角獣・多角獣 (異色作家短篇集)

異色を揃える事にした。意外と良い大きさだったのと、文庫化が無理くさいので。
これを一番に手を付けた私は多分ミーハー。だって一生読めないと思ってたから。


何篇か読んでみて、この人のジャンルって一体何なんだろう。SF?純愛?ホラー?
心地よい日常とのずれ、詩的な文の流れ方、これどうしよう。
相当ビックな出会いをした予感。


「熊人形」の正常脱線感。半覚醒状態で書いているようなテイストかと思いきや
「ふわふわちゃん」のような正統派ホラーが出てくる。
トランスしたかと思いきや意外と地に足が付いていたり。
「考え方」なんでこんな物が書けるんだ。
いや、ジャンルだけじゃなく、雰囲気が掴みにくく得体が知れない。
こんなに翻弄される作家って久しぶり。
大体、初読は初め何篇かで雰囲気が掴めるのに。その後テンポに乗れるのに。
一作品一作品が変な着地点と属性を持っていて、掴みにくい。
スタージョンてどんな作家?と聞かれれば「…なんか変な」としか言いようが無いような。


「監房ともだち」「死ね,名演奏家,死ね」
この2作品の着地の美しさったら!
詩的な表現はないものの、全体が歌というか詩のように流れて丸暗記したい気分になる。
「孤独の円盤」これは何故か泣きそうになった。
ーその光のさまざまな意味の中の一つは、こうだ。
孤独にも終りがある。充分に長いこと、充分に孤独であった人には。ー


本当に有り得ないこの人。
久々に本を読んできて良かったと思った。至福を感じた時間。


一角獣の泉
熊人形
ビアンカの手
孤独の円盤
めぐりあい
ふわふわちゃん
反対側のセックス
死ね、名演奏家、死ね
監房ともだち
考え方