そして円環はひらく

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消失!

消失! (講談社文庫)

消失! (講談社文庫)

犯人が密室から消失!?さらに死体もどこかへ消える不可思議な事件…
狙われるのは見事な赤毛
犯人の狙いは?探偵が謎を解くために動き出す。


大きく3つのサプライズがある本書。
ミステリ研らしいトリック先行の頭でっかちな作品ではあるけど、楽しんで読めた。
メインの仕掛けと思われる1つ目は難なく理解。(刊行93年だもんな、後続のトリックが溢れる今日では…)
が、その1つ目が分かってしまっても面白みは半減程度。2つ目のサプライズが楽しい。


1番目は、新本格なんて大して好きじゃない私でもピンと来た叙述トリック
「マリー」の描写があざとい気が。
・男たちに人気を取られた
赤毛
・新たなアイドル
この3点で十分すぎるほど十分。私は被害者を「猫」と推理し読み進める。
きっと外来種の入りやすい土地柄、赤毛(チャトラ)の多い地域なんだろう。
土地によってはぼんぼりしっぽの多い場所もあるもの。

2点目の「3匹が同一」である事には見事サプライズ。
確かにこの点を生かそうと思うと犬の方が良いんだろうな。
メスに「祐二」と名付けるのもベタだがあの背景(流産した)があればギリOK
だろう。

3点目の”探偵=犯人”はあとがきと同じく、もう使い古されすぎで面白くない。
さらに探偵のキャラがそこそこ立っているので、
今さら犯罪を犯した「ある男」としてのエピローグは読めない。
この部分は蛇足だな。終わりは「ふぅ〜ん…」になってしまった。

ところでこの著者、別名で何か書いてんじゃないの。とか思ってしまうのですが。